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最終更新日:2024.12.11

公開日:2024.12.11

  • #基礎知識

需要が高まる物流ロボット導入の課題

1. はじめに

はじめに

物流倉庫では作業効率の向上や省人化を図るために物流ロボットを導入する企業が年々増えています。物流ロボットの導入はメリットが多くありますが、課題もあります。この記事では、どういったメリットであるか、課題と言われている点は何であるかを解説していきます。

物流需要の増加について

ECの増加などで物流需要が増加していることはもちろんですが、物流は個人宅への配送だけではなく、BtoBの企業間物流の需要の増加が大きいです。物流需要が高まる中、2024年問題と言われるドライバー不足も重なり様々な課題を解決しなければならない状況です。

昨今のEC化率の上昇で小口配送が増加しているのですが、その増加量は令和4年度に宅配便取扱個数が50.5億個にまで到達しています。
10年前の平成24年度には約35億個だったので、10年間で15億個もの荷物が増加していることになります。(参考:国土交通省「令和4年度 宅配便取り扱い実績」より)

物流自動化の種類

物流需要が高まっている中で物流の自動化にも注目が集まってきており、スマートロジスティクスなどの言葉も広がってきています。物流の自動化は、倉庫を全自動化するのではなく物流ロボットを活用して、ロボットと人間が共存する形が理想として広がっています。物流倉庫の作業である仕分けやピッキングなどの単純作業を、人間の代わりにロボットが行います。ここでは代表的な物流自動化の種類を紹介します。

1、無人搬送ロボット(AGV)
AGVとはAutomatic Guided Vehicleの略で頭文字をとって一般的にAGVと呼ばれます。自動搬送装置と呼ばれることもあります。AGVはその名の通り、自動で走行し荷物を搬送するロボットです。
従来、製造工場や物流倉庫で人が行っていた搬送作業をこのAGVが代わって搬送する役割を担います。AGVは小さなものから大きな重量物を運ぶものまで様々な種類があります。

2、自律走行搬送ロボット(AMR)
Autonomous Mobile Robotの頭文字を取って一般的にAMRと呼ばれています。国内では自律型ナビゲーションロボットと呼ばれることもあります。
自律型と称している通り、ロボットが走行ルートや移動範囲を判断して移動していきます。走行ルートだけではなく、人や障害物も自動で感知し、人が作業しているエリア内で協働できるロボットです。物流倉庫では主にピッキングエリアで活用されることが多く、AIによって効率的な移動や指示ができるので生産性の向上にも寄与するロボットです。

3、棚搬送型ロボット
AGVの一種ですが、保管と搬送を担うロボットです。GTP(Goods To Person)とも言われ、荷物が作業者の元までやってきます。ここでも最新のロボットはAIが搭載され、効率的な出し入れ、保管が実現できます。従来、人が倉庫内を歩き回っていたのがなくなるので作業者への負担が大幅に減少させることができるロボットです。

4、仕分けロボット
倉庫作業の仕分けに特化したロボットです。平面型や立体型などの形状があり、ロボットが仕分けをしてくれるので仕分けミスがなくなり物流品質の向上、顧客満足度の向上にも繋がります。ロボットであれば一定の作業スピードを担保できるので、作業者によって1日の生産性が変動するリスクを減らすことができます。

物流自動化によるメリット

物流自動化によるメリットを紹介します。

1、作業者の負担軽減
物流の作業は、倉庫を歩き回ったり、重いものを持ったり運んだりと肉体労働が多い傾向です。重い商品の搬送をロボットに任せたり、歩き回る必要をなくせば作業者への負担は大きく減少させることができます。作業者への負担が軽減すれば、人手不足が激しい物流業界でも長期的に仕事を続けてくれるきっかけにもなります。

2、コストの削減
2030年問題と言われる労働人口の減少と賃金の上昇で人件費は今後上昇していくことがわかっています。物流ロボットを導入すれば、作業効率があがるだけではなく省人化で少ない人数でも作業ができるので中長期的にみるとコスト削減に繋がります。当然、物流ロボットを導入するイニシャルコストはかかりますが将来を見据えてトータルコストを考えて導入を検討するのが良いでしょう。

3、ヒューマンエラーの防止
人手による作業が多い物流業務ではどうしてもヒューマンエラーが発生してしまいます。また長時間作業をしているほどミスが起こりやすくなるのでリスクと隣合わせの状況です。物流ロボットであれば、データによる作業なのでデータにないものはピッキングをしたり仕分けをしたりすることが起きません。ヒューマンエラーをなくすことで、顧客満足度向上・物流品質の向上にも繋がります。

物流自動化の課題

1、コストがかかる
メリットで掲げたコスト削減と相反するのですが、導入費用とロボットの維持費用やメンテナンス費用はどうしてもかかってしまいます。導入コスト、ランニングコスト、メンテナンスコストなどトータルのコストを試算し、自社のROIが出せる位置を見つけだしましょう。例えば、負荷が大きい、今後作業スピードを上げなければならない工程の自動化から進めることで徐々に全体最適に繋げることも可能です。現状の作業を単純に自動化するだけではなく、自社の今後の取扱物量や社会情勢を鑑みてきちんと物流ロボット会社とコストのシミュレーションが必要です。

2、物流自動化のリテラシー不足
近年はメディアで物流の自動化が必要と謳われていますが、実際の現場では物流自動化についての情報が不足しておりなかなか予算がおりないといったケースがあります。これらは自社で物流自動化についてのリテラシー不足が原因です。
現状は、スポットワークの隆盛で人を雇うことが容易で設備投資より安価な場面も多いです。また物流ロボット自体が新しい分野なので国内の事例もまだ多くはありません。このような背景で進めたくても進められない。社内で予算がおりない。といった事態になるのです。まずは、国内でも多くの物流ロボットメーカーが存在しているので、ロボットの実機をショールームで見学、担当者と課題感を話して情報収集をしていきましょう。2024年問題だけではなく、物流業界で今後大きな壁になるのが2030年問題です。2030年には65歳以上の人口が30%以上も占め、最低賃金も上昇しています(2024年10月現在東京都の最低賃金が1,163円)いくら賃金をあげても人を雇えなくなるリスクが起こります。また人件費にも限りがあるので持続可能な物流を実現するためには、中長期的な物流の自動化を推進していくことが企業価値や競合優位性を高めることに繋がります。

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※出典元:内閣府「令和5年版高齢社会白書」

3、運用ルールや新たなマニュアルが必要になる
物流ロボットは新しい設備なので、従業員への教育の時間や新たなマニュアルの作成等が必要になってきます。ルールやマニュアルを作成することで万が一何かトラブルが発生してしまった時のリスクを最小限に抑えることができます。この運用ルールや教育は物流ロボットを提供する企業とのすり合わせが重要です。しっかりとマニュアルを構築できる関係性であるかをロボット選定の時の注目ポイントとしておさえましょう。

まとめ

物流業界は深刻的な労働力不足、荷物の増加で様々な課題があります。物流の自動化推進のためにも進めにくい環境も大きな課題です。現状維持ではなく、持続可能な物流網と企業の運営のためにも物流の自動化は大事なポイントになります。まずは自社の課題を物流ロボットを提供する企業に相談し、ROIが出るかなどのシミュレーションを実施したり情報収集をしていくことを推奨します。2030年まで残り5年ほどです。先を見据えて、業務改善をしていきましょう。様々な工程での物流ロボットを扱っているRobowareでは、ROIのシミュレーションはもちろん稟議の作成から導入後の効果改善などすべて一気通貫で提供しています。相談は無料なので、サービス概要などをオンラインで聞いて比較検討していきましょう。

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