最終更新日:2024.01.19
公開日:2024.01.19
食品物流における仕分け作業効率化
はじめに
物流は経済活動や消費者の生活を支える重要なインフラです。しかし、物流環境は厳しい状況にあるのが実情です。その中でも食品は我々の生活にも大きく関わる分野でもあり、食品物流の改革が必要です。この記事では、物流の現状や食品物流において発生する作業の効率化方法や成功事例を紹介します。
物流2024年問題による影響
まず、物流業界の実態からみていきます。昨今2024年問題とメディアでも話題にあがってくるようになりましたが具体的にはどのような影響を及ぼすのでしょうか?
大きくはトラックドライバーの労働時間に上限が設けられることで、それを取り巻く環境に影響していくことです。
国内貨物の90%はトラックによる輸送です。この輸送時間がなくなる=モノを運ぶ時間がなくなるので必要な時にモノが手に入らない可能性も考えられます。加えて、物流業界は深刻な人手不足でトラックドライバーも減少しています。超高齢化社会で若年層の労働力も増えにくい状況なのでトラックドライバーを増やすのは容易ではありません。運送会社の企業努力だけでは解決しなく、モノを運ぶ前の物流センター、倉庫内で出荷を早めなければならないという課題もあがってきます。
物流倉庫での効率化が求められる
物流業界全体が深刻な労働力不足なので、倉庫内の作業者の確保も同様に難しくなっています。しかし、物量が減ることもなく、ドライバーの労働力に上限が設けられたので出荷までのタイムリミットがよりシビアになっていき倉庫内作業は効率よく運用していかなければなりません。トラックドライバーの荷待ち時間を短縮し、なるべく早く荷物を引き渡せるような倉庫内作業の改善が必要です。
また、食品物流に関わるトラックドライバーの労働時間が平均で12時間32分と他の品目と比較しても長時間労働の実態が明らかとなっています。
30分以上の待ち時間が発生している件数も食品関係が突出して多いです。食品物流を存続させるためには、ドライバーの労働時間短縮を見据えた生産性の向上と効率化が求められます。
参考:国土交通省「食品に係る物流効率化の手引」より抜粋
食品物流における作業効率化の成功事例
それでは、食品物流における作業効率化には何をしたら良いのでしょうか?具体的な事例を交えて紹介します。
■食品スーパー向け冷凍商品の店舗別仕分けを機械化で効率アップ
吉田海運ロジソリューションズ株式会社は、食品に特化した3PLサービスを提供しています。今まではボイスピッキングによるピッキングで効率化を図っていましたが、オムニ・ソーターという高速仕分けロボットを導入して更なる効率化に成功しました。
現状は、大きな人手不足を感じていないものの将来を見据えた設備投資と競合との差別化、生産性の向上のために導入。導入した結果、スーパー向け仕分け作業が3時間から1時間に減少し、残りの2時間は別の業務に充てられるので生産性が上がりました。従来のボイスピッキングではシングルピッキングを行っていたのですが、オムニ・ソーターの導入でトータルピッキングに切り替えができ、仕分け作業の効率化となっています。
食品物流における仕分け作業効率化方法
前述した事例をみると、倉庫内の一部分の工程を機械化することで効率アップに成功してることが分かりました。倉庫の機械化や自動化は、Amazon倉庫のような大規模なものをイメージしてしまいハードルが高いのではと考えてしまいがちですが、実は工程を切り分けて機械化・自動化の実現ができるようになっています。事例にも挙がっていた仕分け作業の自動化「オムニ・ソーター」について紹介します。
立体型の高速仕分けロボットとなります。いわゆるソーターと言われるものは平面のものや大規模なマテハンを想像しますが、下記の画像のとおりコンパクトな作りとなっています。
オムニ・ソーターのメリットとしては、圧倒的な省スペースで高速仕分け、拡張や移設が簡単で日本の倉庫に合っている点です。機械能力としては1時間あたり1,200~1,400pcsを出すことができます。従来の属人化された仕分け作業ではなく、1時間あたり一定の処理ができるので、作業時間予測の判断材料にもなります。出荷までの作業時間が見えてくるので逆算ができ、トラックドライバーへの荷物の引き渡しまでスムーズな業務進行に繋がります。
まとめ
現在、食品物流業界で課題となっている作業効率化、生産性向上に寄与する方法がこの仕分け作業の自動化、オムニ・ソーターの活用です。
しかし、オムニ・ソーターを導入するだけで解決しているのではなく、自社の課題をきちんと把握して費用対効果のシミュレーションを行ったり、実機を見たり、実際の商品を流してみたりと入念な検証が必要です。オムニ・ソーターに限った話ではありませんが、機械を導入する際には自社の課題をきちんと把握して様々な検証を行いましょう。
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